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日本の結婚観

    第十六回

    2025年11月30日(日)

    参加者:4名

    ジェンダーロールを乗り越えようの会

    「日本の結婚観」

    第十六回となる今回のジェンダーロール勉強会では、橘木俊詔著『男性という孤独な存在』の第2章「日本の結婚・家族の歴史」と、第3章「現代における『家族のかたち』の変容」を読み、意見交換を行いました。

    これまで西洋のジェンダー史を題材に意見交換を重ねてきた中で、日本の状況についても断片的に語られてきましたが、今回は学びを深めるため、日本のジェンダー史に言及しているテキストを取り扱い語り合いました。


    日本の家制度と家父長制と結婚観

    階級によって結婚のあり方は大きく異なり、そもそも恋愛と結婚が結びついていない時代を振り返りました。平安時代には母系的で女性優位な側面があったことや、江戸時代に入り武家社会へ移行するにつれて男性中心へと変化していったことなど、貴族と庶民では結婚観そのものがまったく異なっていたことなどが語られました。

    江戸時代、丁稚奉公に出された家に仕える子どもたちは、その家に仕えている間、結婚するという選択肢自体が存在しなかったのではないか、という指摘もありました。

    明治以降、家制度や家父長制が導入された理由については、国を統治するための軍事力や経済システムに適していたからだと説明されましたが、参加者からは、「自然発生的にそうなっていったわけではなく、便利だと考える人々が意図的に方向づけていったのではないか」という声も上がりました。

    議論の中では、家父長制が要因となって生じる生きづらさは、女性と男性とで異なるという見解も共有されました。女性には無償労働が、男性には一家の大黒柱として経済的に稼ぐ責任が当然のものとして課されたことなど、それぞれが抱える生きづらさや憤りが語られました。また、そうしたジェンダーに基づく負担が、家族の「絆」として言語化され、美化されてしまうことへの違和感についても話題になりました。絆という言葉が東日本大震災後から、頻繁に使われるようになってきたという意見もありました。


    時代とともに変わる言葉の持つイメージ

    話題はテキスト中に登場する「妾(めかけ)」という言葉へと移っていきました。妾という言葉になじみがない参加者がいる一方で、強い男尊女卑のイメージを感じる言葉だと受け止める参加者もいました。祖父母世代の日常的な語りの中に、妾や内縁の妻といった言葉が自然に登場していた経験が語られる場面もありました。

    一夫一婦制が当たり前とされている時代だからこそ、妾という言葉によりネガティブな響きを感じるようになったのではないか、という意見もありました。妾という言葉は、古代中国で「捕らえる」という意味をもつ動詞に由来し、奴隷や召使いの女性を指していたとされ、日本においても身分の低い女性を意味していました。

    また、ゲイの人たちを侮辱する言葉として使われてきた「ホモ」や「おかま」などの例に触れ、人の状態や属性を指す言葉と、そこから派生するネガティブなイメージについて話されました。同じ言葉であっても、ネガティブなイメージを強く感じる人と、そうでない人が同時に存在することもあることについて確認されました。

    シングルペアレントや事実婚が増え、婚姻形態そのものが多様化しつつある現在においても、男女の関係性をどう自認し、どんな言葉で表現すればよいのかわからない、という声もあがりました。同じシングルペアレントの状況でも事情は様々であることが共有されました。

    さらに、結婚して苗字を合わせることへの抵抗感が、かつてはほとんど語られなかったことや、女性の生き方は一つしかないかのように生きてきた感覚について、それぞれの経験や感覚が共有されました。


     結婚と離婚の今昔

    近年の結婚観・離婚観の変化についても意見が交わされました。棒グラフを見ながら、近年は離婚率が上昇していることを確認し、その背景として、女性の社会進出や経済的自立が挙げられましたが、それに対するさまざまな見方が共有されました。

    結婚が家に入ることと強く結びついていた時代には、離婚に対してより強いネガティブなイメージがあったのではないか、という意見も出ました。また、女性が離婚して実家に戻ることを「出戻り」と呼ぶ一方で、男性に対しては同じ表現が使われない点についての指摘もありました。

    江戸時代には男側が一方的に離婚できた時代があったこと、そして明治以降、双方の合意がなければ離婚が成立しない仕組みへと変化したことを確認しました。

    さらに、パックス(フランス)やサムボ(スウェーデン)といった制度に触れながら、同棲や事実婚を社会がどのように位置づけているのか、日本でも制度化が可能なのか、といった議論が展開されました。

    若い世代ほど、周囲から認められるための儀式としての結婚に強くこだわらない傾向があるのではないか、という意見もありました。そもそも結婚式を挙げないという選択肢が広がってきていると感じる参加者もいました。一方で、森の中で行う結婚式など、個性を前面に出したユニークな結婚式をコーディネートする事例も挙げられ、多様な価値観を背景に結婚式のあり方が多層化してきているのではないかという意見も共有されました。


    さまざまな言葉の表現がある中で、時には言い切る力も必要である一方、今の時代や現状に近い表現とは何かを考え続ける大切さを共有しました。その都度立ち止まり、異なる意見や立場に思いを巡らせること、そして断定することのこわさについて、参加者同士で確認する時間となりました。

    記録:ダンシロウ


    参考文献:

    「男性という孤独な存在」 橘木俊詔 著

    第2章 日本の結婚・家族の歴史
    第3章 現代における「家族のかたち」の変容


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